恋した道化師ノ行方

独り言と落書きを気の向くままに更新。近頃絶賛更新停滞中。

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ボカロ海外組の、BIG-ALです。

オチ放棄、キャラ崩壊/偽物あり。
文字通りのゴミです。
それでも読んで下さるという方は追記よりどうぞ。



「マスター、デュエットしましょう」

おもむろにアルはそう言うと、選曲の電子パネルを寄せて見せた。
カラオケボックスの個室にしては少し明るめの照明が、光々とアルの輪郭を映している。それは薄暗闇を避けるため、引いてはそれに準ずる何かを避けるための、無意識を装った私の確信によるものであった。しかしそんなことをしないでもアルは優しく、純粋にカラオケを楽しんでいるように見える。念願叶って、と言ったようにいつにも増してきらきらと瞳が輝いている。可愛らしい。

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自宅でも十分に歌を歌える環境があるのに何故この閉鎖空間に出向いたのかというと、それはつい先日に起きたちょっとした事件とその仲直りの約束に因った。
事の起こりは私が原因だった。ばったり出くわしてしまった友達と話の流れで彼女らが持て余した暇に付き合うことになってしまって、お昼ご飯だけのつもりが散策、買い物そしてだらだらとカラオケまで行ってしまった。アルに連絡をしようにも普段から気にかけてもいない携帯は既に充電が切れていたし、たまにぐらい夜遊びをしてもいいだろうという安易な考えで結論を出してしまった。

案の定というか、慣れないことをした疲れでへろっとした私を出迎えたのはどろりとした空気とアルだった。怒っているのか悲しんでいるのかよくわからないその表情が怖くて、はっと危機感を感じて、自宅にも関わらず思わずドアをを閉めようかと思ったくらいだ。
ただいまより何より先に、ごめん、と言うと、アルは抑揚のない声で(ああでも、良い声で)どこへ行っていたのデスカと訊いた。友達と、遊びに。どこヘ。カラオケ。
しんとした沈黙が痛くて、ごめんね、と再度謝ると今度は心から寂しそうな、ある拍子にすうっと消えてしまいそうな声で、今度俺も連れてって下サイ、とアルは囁いた。私はその時こそよく考えずに首を縦に振ったのだが、思った以上に内心痛く感じていたので今日に至った、というわけだ。


ミクサン、ルカサン、とアルが呟やく。パネルの表示にはあまりにも有名なデュエット曲があった。禁断の愛を歌ったこの歌は禁忌を歌いながらも、軽やかで甘やかな印象を受ける。一度アルに歌ってもらおうと思って、やはり一人二パートは難しいかと挫折した歌だ。
それでも片方のパートはしっかり教えてあるし、私は両パートとも練習していたので、確かに歌えなくはない。

「……いいけど、私なんかがアルと歌ったりしちゃうと、クオリティの差が顕著に現れてしまうというか」
「そんなことナイデス!(デス)(デス)」
「アル、マイク入ってる」
「あ。スミマセン。……マスター、俺と歌うの嫌デスカ」
「う? ううん、そんなわけないよ。歌おう歌おう」
「(やった!)」
「じゃー、私がミクパート歌うね」

心底嬉しそうにうんうん頷くアルの無邪気な毒に負けそうになる。ああ、なんて。なんて。眩しいので目をそらして、手早く本機へデータを転送した。
ピピピ。
マイクを取って咳払いして。一人一人で別々に歌うのとは違って妙に気恥かしい心地がした。なんか緊張するね、というとアルははにかんで応えた。

ハーモニー部分は相手を尊重して、かつ自分のパートもしっかり歌って、全体の調和をとって、という歌を歌うことに関しては全くの素人の私が感動するような技を魅せる。しかし芸にこだわっている風には見えないのがまた、アルらしかった。歌詞を追いかけながら、ちらりちらりと彼を盗み見ればその横顔が満ち足りたような幸せをたたえているのがわかった。私なんかと合唱して、全くどうしてそんな幸せそうな顔ができるのだろうか。もちろん私だって、悪い気はしないわけだけど、むしろ。
……ああ、ごちゃごちゃ考えてたら音をはずした!


「俺、マスタと歌いたかったんデス」

そう、そっか。
真正面から受けてしまった笑顔に、私の心はぐるぐるとかきまわされて長いこと波が立っていた。




警戒しながら、惚れ負けちゃってるような。
アルヒロインは基本的に病んでるというか、対外恐怖してます。
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