恋した道化師ノ行方

独り言と落書きを気の向くままに更新。近頃絶賛更新停滞中。

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ボカロ海外組の、BIG-ALです。シリアスです。

オチ放棄、キャラ崩壊/偽物あり。
文字通りのゴミです。
それでも読んで下さるという方は追記よりどうぞ。

ここはどこだろう。
目を開ける前から、ここが見知らぬ空間であることがわかった。空気の匂い、電気の明るさ、雰囲気、そして電子音、ざわめき。私の家はいつだって静かで薄暗くて、自分にとってベストな環境を保っていた。だからこそ、変異な環境には敏感になった。
眩しい光に対する覚悟を決めて瞼をあける、と、やはりそこは病院らしかった。
痛い。
という感覚が不意に主張した。痛い、痛い。私は目をぱちぱちしながら周囲を確認しようとした。痛い。
私が目を開けたことに気付いた眼鏡のおじさんが、優しそうに(たぶん表情だけだ)にこりとした。あなたはだれ。

気が付いたかい。よかった、気分はどう。

あ。あなたはだれ。

君のご家族に連絡を取ろうとしたんだけど、連絡がつかなくてね。君は事故にあったんだ、今日から入院しなくてはいけない。

あなたはだれ。

悪いんだけど、君からも連絡が取れないようだったら、仲の良い友達かなんかにでも頼んで必要なものを取りにいかせてもらえないかな。

友達かなんかって。
ああ、家にぼーかろいどがいます。持ってきてもらいます。

ボーカロイドって。

知らないんですか。歌を歌ってくれるアンドロイドです。私の家にいます。

ああ、なるほどね。しかし君、ボーカロイドはここにはこれないだろう。

だいじょうぶです。地図のデータも送りますから。持ってきてもらいます。

大丈夫かい。ボーカロイドはソフトだよ。実体がないからここにはこれないだろう。

何をいってるんですか。ぼーかろいどは実体があります。

……そんな夢でも見ていたのかな。とにかくご友人と連絡を取って。

ぼーかろいどは実体があります。

あのね、おじさんを困らせようとしているのかい。
ボーカロイドは音楽ソフトであって、ただのCD-ROMに組み込まれたデータなんだよ。パッケージに描いてあるのは絵で、実際に動いたりはしない。動くのは二次元での話だ、誰かがアニメーションにしたりするんだ。実際に動いたりはしない。触ったり、コミュニケーションを取るなんてことはできないんだよ。だってボーカロイドは。

アルは動きます。喋ります。

君は混乱しているんだ。身体も痛いだろう、少し休んでから、話そうか。

アルは私はインストールしたそのときから居る。アルはデータの集合なんかじゃない。アルは。

落ち着いて。

だってアルは、居るんだから。



はっぁ。
いきなり入ってきた空気に咽喉が痛み、むせ返った。自分は狭く薄暗い、世界一居心地の良いはずの自分のベッドの上でむせ返っていた。そして目の前には、アルがいた。
彼が心配そうな表情でこちらをのぞきこんでいる。少し怯えたような、灰色を含んだ瞳が、やはりきらきらしている。
大丈夫ですか、マスター。
その声を聞いて、私は知らずと涙をこぼした。

あ、ある。

声が震えてしまっている。
なんて馬鹿な夢を見たのだろう。こっちが現実で、現実に違いない。そう思いながら、でもまだ少しだけ疑いながら、私は涙をこぼした。面白いほどにぼろぼろとこぼれた。
彼は私をのぞきこんでいる。なんでマスター(所有者)は泣いているんだろうと思っている。不安に思っている。私はその彼の腕をぎゅっと掴んで、目を閉じた。
アルはここにいる。


彼はマスターの頬を優しく撫でた。



ときどき、夢を見てるんじゃないかと思う。
全部全部が夢で、彼がいることだけが真実、だったらいいなあと思う。
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